Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「おや、八五郎親分、もう御存じで?」
「知らなくってさ。隠したって駄目だよ、真っ直ぐに申し上げた方がいいぜ」
ガラッ八の八五郎が、浜町河岸で逢ったのは、廻船問屋浪花屋の奉公人、二三本釘の足りない江戸っ子で、雑用にコキ使われている釜吉でした。
五月二十八日の川開きが昨夜済んだばかり、朝の浜町河岸は埃溜を引っくり返したようですが、その中に何かしら事件の匂いを嗅ぐともなく、人の顔ばかりを見て歩いて来た八五郎だったのです。
「恐れ入ったネ、八五郎親分、あれを御存じとは」
何の事やら判りませんが、素人衆が岡っ引を買い被るのがこっちの付け目で、八五郎はこんな相手から、事件の端緒を引出すことにかけては、親分の銭形平次に、毎々舌を巻かせるほどの名人だったのです。
「それはね、餅は餅屋だ。どんな事でも、一刻(二時間)と経たないうちに、俺達の耳に入るから不思議さ」
八五郎がこんな時ほど賢そうに見えることはありません。毛虫眉を顰めて、大きい口を屹と結ぶと、不思議なことに、長い顔も、少しばかり寸が詰ります。
「あの土蔵の穴を見付けたのは、ほんの半刻(一時間)前ですぜ、親分」
「そうとも」