Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
二
八五郎はすっかり興味を失いました。土蔵に小さい穴なんか拵える泥棒と掛り合っているにしては、五月二十九日の朝は、あまりに美しく晴れ渡っていたのです。
それから親分銭形平次の家まで、どんなに長閑な心持で辿ったことでしょう。
「親分、お早う」
「大層好い機嫌だなア、八、寝起きの良い子は育つよ」
平次は朝飯が済んだばかり、爽やかな陽の中に、盆栽の緑を楽しんでおりました。
「新堀の浪花屋の土蔵へ穴を明けた野郎がありますよ」
「そうかい、相変らず早い耳だ。盗られたのは?」
「それが可怪しいんで、せっかく穴は拵えたが、あんまり小さくて、泥棒が入れなかったそうですよ。間抜けな話じゃありませんか」
八五郎はいかにも面白そうでした。
「それとも手先に子供か猿を使っていたかな」
「えッ」
平次の観察の鋭さ、ガラッ八もこう言われると、今さら自分の迂闊さに気が付きます。
「そいつは面白そうだ。行ってみようか、八」
平次は立上がりました。
二
平次とガラッ八は、時を移さず南新堀町の浪花屋へ飛んで行きました。豊海橋を距てて御船手屋敷と相対した、大きな廻船問屋で、主人の又左衛門は四十二三の年配、銭形平次が行くと、大喜びで迎えてくれます。