Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
「あれは?」
あっちこっちの押入をあけたり、箪笥を抜いたり、騒ぎの中に家捜しをしている若い男に、平次の注意は向きました。
「文三郎さん」
「…………」
平次の顔を見ると、あわてて神妙な様子を見せる手代の文三郎は、この騒がしい空気の中には、とにもかくにも不思議な存在でした。せいぜい二十五六の好い男、少し華奢ではあるが、悪人らしい男ではありません。
「あ、銭形の親分さん」
奥の一と間、――店と土蔵に挟まれて、一方口の狭い部屋の中に、主人の死体は二三人の驚きと歎きの中に横たわっておりました。
声をかけたのは番頭の喜助、四十五六のよく肥った、――何となく魯鈍そうに見えるうちにも、強かな駆引を用意しているらしい男です。
「気の毒なことだね、――急に亡くなったのかい」
「ヘエ、――あんまり急で、涙も出ません、ヘエ――」
「平常から弱かったのかい」
「とんでもない、丈夫が自慢の主人で、時々肩が凝るほかには、風邪一つ引いたことのない方でございます」
平次はズイと寄りました。かりそめに敷いた蒲団の上、箱枕と小掻巻だけの転た寝の姿のまま、主人の白石屋半兵衛は死んでいたのです。
鬢に少し霜を置いた、見事な恰幅で、面ずれ、竹刀だこを見なくとも、たった一と眼で武家出とわかりますが、それが心持顔を歪めて、さしたる不自然な形の崩れもなく、息が絶え