Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
「あわてないでよい。まだ若いおぬしを、不具者にしては愍れ。怪我せぬように仕合うてやる。落着いてかかれ。落着いて」
風呂場の横に積んである松薪の一本を取って、きっと此方へ向け、夕月の下涼しげに、典膳の手もとを見直していた。
兄弟子善鬼
一
搏って搏って、搏ってかかる波の精根も、巌をうごかすことはできない。典膳と一刀斎との半刻にもわたる仕合は、まさにそんなふうだった。また、両者の実力にはそれくらいの相違があった。
刀を奪られて、茫然、なす術もなく立たされてしまうこと二度。空を斬って、身ぐるみ、遠く投捨てられてしまうこと四たび。
このあいだに、典膳の刀は、ついに一刀斎の衣服のたもとを掠めることもできなかったのである。
「もういちど。もうひと太刀っ」
惨たる敗れに腰をつくたび、典膳は喚きの中から身をふるい起して、狂う炎のごとく一刀斎へおどりかかった。一刀斎は、もう拒みもせず、止めもしなかった。
「よしっ、幾千遍でも」
初めに構えた一本の薪は、つねに同じところに同じ角度で持たれていた。もちろん動く一瞬は疾風を起し電光を描く。けれどそのあとはすぐ元のすがたに回っているのだった。