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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

分け入れば分け入るほど、踏み迷うばかりです。己の未熟と不才がわかってくるばかりで、お恥かしゅうぞんじます」

「神取新十郎は、五畿内随一の兵法者。その人から、新当流の奥旨をうけられながら、なお御不足かの」

「生れつきの鈍才とみえまする」

「ははは。御謙遜であろう」

「いや、まったく」

我れ知らず、宗厳は、斬り込むような語気で云った。

必死に道を求める者の懸命なさけびが、つい迸って、眸からも燃え出たのである。

今だ。この人にこそ、日頃の懐疑を質し、悶えを打明けてみよう。そして、礼を篤うして師事してもよい。

――この心の眼さえあくならば!

宗厳の胸には、さっきから、そうした熱情が抑えられていたので、我れにもあらず膝をすすめたのであった。

ところが。

伊勢守は、とたんに手の杯を、軽く下において、

「思わず長座を。……文五郎、意伯、おいとま致そうか」

と、さり気なく反らして、宗厳の眸が、何を訴えているかも見てくれない。

「せめて一夜」

と、留めてみたが、伊勢守は、春の夜道も好ましいゆえ、帰るという。

宗厳は、心残りでならなかったが、家臣三名に松明を持たせて、ここから奈良まで二里足らずの道を、送って行くようにいいつけた。