Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
「真価はわからぬ。よし、もう一度、こちらから出向いて会ってみよう。そのうえで、伊勢守の人物が、名声の如く、高潔であり、彼の剣に学ぶものがあったら、改めて、師礼を執っても決して遅くない」
もし近日にでも、先へ旅立たれてはと惧れて、それから一日措いてすぐ、柳生宗厳はただひとりで城を出た。
ここに久しく、絶えて何処へも出ない主人が、遽に、
「奈良まで」
と、城戸へ向って行ったので、家臣の庄田喜兵衛次、服部織部介などが大手の坂まで追いかけて、
「どちらへお出ましなされますか」
と、顔いろを覗いた。
「宝蔵院まで参る。供はいらぬ。供に従くな」
「でも、お馬の口輪なと」
「いや歩いてゆく」
家臣たちは、茫然と見送っていた。
それほど、宗厳の姿は、道を求めるうつつな人であった。
彼の学んだ新当流の剣といわず、この時代のいわゆる刀法は、まだ極めて、技術も理論も粗い――ただいかに人を斬るかの工夫でしかなかった。
彼の理念は、そんな粗雑な構成の熟達で甘んじられなかった。
いちど、剣を離れて、禅に入ったのも、そのためだった。
けれども、混沌と、迷いに入るばかりだった。禅は禅、技は技、ばらばらである。