Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
もう彼処の土橋まで来ておるが、賊軍の偵察隊に阻まれて危機に瀕しておる」
地点を望遠鏡で見とどけて、奥少佐が駈け降りてゆくと、将軍は眼を転じて、鎮台内の西のほうを見下ろした。
野戦病院の屋根の雪も解けた。その横の丘が山砲台、その前の広場は射撃場である。つづいて西出丸の建物がある。
その辺りに、婦人たちのかいがいしい姿がたくさん見えた。ある者は白木綿で髪止めをしている。ある者は紅の襷をかけ、ある者は鯉口を着て、兵と共に、働いているのである。
焼けあとから工兵が掘起した味噌とか米俵とか、原形もなくなっている食糧の山から、なお幾分でも食べられそうな部分を選り分けているのだった。
将軍は急に胸が迫って来た。
火災はむしろ天祐と先にいったが、食糧課員の調査表によると、出火前は、貯蔵精米が五百五十余石、玄米百十六石一斗とあって、一日の消費額二十九石として、今後、約二十日間は充分支えがつくことになっていたのが、火災のため、そのうち五百石余という大部分は焼失という赤線で消されていた。
この補給をどうするか?
薩軍は怖れないが、彼の最も憂惧したのはその問題だった。兵隊ひとりに七合二勺五才ずつ、二千五百八十名への割当を、どこから持って来て供与したものか。