Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

「御見物でございましたか」

「おう、御住職か。あまり麗らかさに、春日の御社まで詣って来た」

「実は、お待ちしているお方がございます」

「どなたかの」

「柳生殿でござります」

「何、宗厳どのが。……それはまた思わぬ失礼を。いざ、お迎え下さい」

「いや、きょうのお越しは、そうした徒然のお訪ねではなく、実は必死なお気もちでお出でなされました」

「必死とな」

「実は、かような次第です」

胤栄は、板縁へ坐ったまま、宗厳の気もちと望みとを、つぶさに話した。

伊勢守は、縁の陽なたに腰かけたまま、聞いていた。いつのまにか、眼をふさいでいる。やがて、その眼をひらいて、胤栄を振向くと云った。

「近ごろ殊勝な人に出会うた。いかにもお望みにまかせよう。……しかし此方が観た眼も、世間のうわさに違わず、すでに柳生殿には、一流に達しておられるお方、この伊勢守に御指南するほどな力があるや否や疑わしいゆえ、仕合とあれば、承知いたしたとお告げ下さい」

「ありがとう存じます」

胤栄は、静かに、退がって行った。

しばらくすると、再び姿を見せて、

「御斟酌の儀、柳生殿にも、御承知のうえで、先へ、道場へ通ってお待ちなされております。