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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

「まことに忝いお言葉にござりますが、この老骨は、すでに御奉公申しても、御奉公のかいなき老朽に過ぎませぬ。また、物事にはや懶いくせがつき初めて、仕官の意志だに燃え立ちません。――が、願わくば、これに連れ参りました二人の男の子と、一名の孫のうちに、万一お眼鑑にかなう者がござりましたら、お取立て下されますように。実は、わたくしの方よりその儀お願いのために、このたびは進んで長政殿の御案内に従いて来た次第にござりまする」

すでに自分の老い先と命を自覚している石舟斎は、この雛鳥の孫や子を如何にもして世に出したいと思っていたに違いない。今、彼が家康に陳べたことばは、何のかざりも誇言もなく、平凡な頼みに過ぎなかったが、しかし、その淡なる辞句のうちには慈父の大愛というような切実な情愛がこもっていた。真心は面にあふれ、やはり愛児の将来を江戸の地にいつも想う家康には、その気もちが分りすぎるほどよく分った。

「いや、よく分った」

家康は大きくうなずいて、

「三名とも、さすがは柳生の子息なり孫なり、いずれもよい面だましいの若者とは見うけるが、して、石舟斎には、この家康が子息への師範として、このうちの誰をかわしへ推挙したいと申すか」