Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
ということであった。
これを見ても、石舟斎が、どれほど兵庫を熱愛していたかがわかる。しかしまた、その無理な条件をも容れてまで客分に迎えた清正の熱心と寛度も大きなものと云わなければなるまい。
その兵庫利厳が、肥後へ行ったのは二十五の年だった。肥後にとどまることも短く、わずか二年で加藤家を辞し、その足で彼は九州中国から北陸地方を遊歴していたのである。
本年二十八歳となった。先頃の便りでは、四月頃までには柳生に帰るとしてあったが、五月にも見えず、六月も過ぎかけていた。
「……兵庫はまだ帰らぬか」
石舟斎は、病床について、寝たきりとなると、なおさら、それのみ待ちこがれているふうであった。
「ただいま戻りました。兵庫でございまする」
秋の初め、秋の訪れ――。久しぶりな声は柳生家に聞えた。
石舟斎のよろこび方はいうまでもなかった。
一日、秋の気の爽やかな昼。
「兵庫、こちらへ来い」
石舟斎は、病床を離れ、衣服もあらため、嗽水、手水までつかって、奥の一室へ、孫の兵庫を呼び入れた。
「おからだは如何ですか」
「たいへん気分がよい。しかしもう枯木じゃ、もう咲く花は待たれん。