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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

駕籠がとまってタレがあがり、ヨロヨロと出たのは一人の娘、それはほかならぬお京であった。

「いったい妾はどうしたのだろう?」ぼんやりと四辺を見廻した。「浅草河喜という料理屋に、袴広太郎様がおいでと聞き、行った時から正気がなく、駕籠の中へ押しこめられ、陰気な屋敷へ連れて行かれたが、夢うつつのように見えたのは、美しい殿堂、広い海、限り知れない砂の原、小羊をたくあおい煙り、そうしてその間にこわらしい、みつ口の小さなお爺イさんが、向こう傷のあるおさむらいさんが、はいったり出たりしていたが、おおそうして一度だけ、ほんのチラリとではあったけれど、袴様のお姿もお見かけしたが、どれもハッキリとは覚えない。……でもみつ口のお爺イさんが、さっき妾を丁寧に、駕籠へかき乗せてくだすった時から、妾は正気に返ったようだ」

髪一筋乱れていず、衣裳一つ着崩れていない。中高の細面。神性と処女性のあることを、さながらに現わしたあこがれるような眼。これが旗本の娘だろうか、貴族の姫君ではあるまいか? こう思われるほど気高い鼻。少しやつれてはいるけれど、昔のお京と変りがない。

「おや」とお京は眼をみはった。