Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
四方樹木にかこまれた、すり鉢形の小盆地で、その真ん中に宏大な屋敷、里の長の住居がある。それを囲繞して点々と、立っているのが五十戸の人家、すなわち里人の住居である。
この杉窪の特権として、運上を納める必要がなかった。ただしその代わり毎年の元旦、選ばれた芸人が柳営へ参り、祝儀の放歌を奏したものである。里人の性質は剽悍で、義侠心に富んでいた。野心家などが活用すると、面白い芝居が打てそうな連中、噂によれば武器なども、貯えているということである。とはいえ日常の生活には、特に変ったところもない。米の飯に味噌の汁、野菜も食えば塩引きも食う。犬もほえれば鶏もなく。お茶も飲めば酒も飲む。色恋もすれば子供もうむ。仕事といえば芸事の練習。そうして芸事に必要な、道具類の手入れなど。みんな大変仲がよく、親方に対して忠義心が厚い。親方の名は杉窪の銅兵衛、なかなかの人物だということである。
さてある日のことである。銅兵衛の屋敷の前庭から、明るい女の笑い声がした。
「ホ、ホ、ホ、ホ、馬鹿だねえ。どうしてそんなにノロマなの。とらえるといいわ、遠慮なく。さあさあ早くおとらえよ! ノロマのノロマの三吉や!」