Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
行きずりに寛永寺の坊主などが、いやらしい眼をして見送りながら、「惜しいものでござるな、野郎頭が」「前髪を立て振り袖を着せたら、寺を開いても愚僧は通う」などと囁くと金弥の方でも、それがうれしくて気取った咳をし、衣紋の襟をしごこうという、ざっとそういうさむらいである。ところがここに困ったことには、金弥とお京とはいいなずけであった。父と父とがずっと昔に、そういう約束をしてしまったので、今さらどうにもならなかった。「臼井の家がゆたかなら、また、知行でも多いなら、いいなずけの約束変更してもよいが、万事当家より劣っている。で、いいなずけの約束を破り、お京をよそへ縁づけたなら、臼井の家ではひがむだろう。『あれ見よ小松原平左衛門は、臼井の微禄に愛想を尽かし、武士にあるまじく約束を破り、娘を他家へ縁づけたわ』世間の口の端もうるさかろう」これが平左衛門の意見であった。「しかし父上、広太郎殿が、お京を懇望しておられます。この私とは昔からの親友、それに人物はあの通り、文武二道に達しております。金弥殿などとは比較にもならず、無二の良縁かと存じますが。……それにお京の心持ちも……」