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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

木で造った像である。それは繁殖の神である。

その巨像の右と左に、青銅らしい香爐があり、紫陽花色をした太い煙りが、うねりながらもうもうと立ちのぼっていたが、開けられた戸口からこっちの部屋へ、太いたばのように流れ込んで来た。そいつを鼻にした広太郎が、思わずハッハッと喘いだのは、煙りに含まれている刺戟性のにおいが、一時に広太郎の愛欲を、クラクラとかき立てたからである。

天井から龕灯がさがっていた。瑤珞を持った南蛮製の、ギヤマン細工の巨大な龕灯で、そこからさしている琥珀色の光が部屋全体を輝かせている。神像のうしろには錦襴の幕が、だらりとひだをなしてかかっていたが、龕灯の光に照らされて、その刺繍が浮き出していた。逞しい両性の肉体が、からみ合っている刺繍である。

四方の岩壁には無数の絵画が、黄金色の額縁にはめられて、壁画のように懸けられていたが、龕灯の光に照らされて、絵面が朦朧と浮かび出ていた。両性秘戯の画面であった。

しかしこれらの光景は、さして驚くにもあたらなかった。

驚くべきは柱であった。

部屋の四隅に立っていた。

それは形容を絶したところの、醜い形を持っていて、再視することさえ出来なかった。