Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
失しゃアがれ、消えてなくなれと! そこであっしがショボショボと、山をくだるの一段となる。どう考えたって下の役だ!」ここで忠三手をうった。「あねご、行きやしょう。城之介を追って!」
「どうしたんだい、性急に?」
「フッ、フッ、フッ、まずこうだ。あの魂のぬけがらを、追っかけているその間は、袴様とは逢われねえ。と少なくともそのうちじゅうは、あねごと一緒にいられるってものだ。へいさようで、二人きりでね。いいなあいいなあ、行きやしょう」
「忠さん」とお町、気の毒そうに、「そんなに妾といたいのかい?」
「あねご!」とあぶなくシンミリとしたが、すぐにまぜっ返したものである。「なんのアタボウ、背負っちゃアいけません。恋の燃えがら、もえ残り。いらねえいらねえ、いりませんねえ。だが」というと横目で見た。「くださるものならもらいますぜ。もっともさっきも二、三度いった」
忠三スタスタ歩き出した。それにつづいてお町が行く。あとに残ったは捨てられた松明、ボッと焔が立っている。暁近い高原の夜を、くさび形に割って燃えている。と一匹明かりを慕い、こおろぎがポンと飛んで来たが、すぐに羽根を焼かれ、まるくかたまって死んでしまった。