Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
ほかに二人が前駆けの体で、松明を捧げて歩いて行く。
「鉄杖の音でございますな。何か不吉の前兆でも、先生にはお感じなさいましたので?」こうきいたのは光圀である。
「さよう」というと朱舜水、雪白のあごひげをしごいたが、
「不快な音色でございましたよ。爪拗音というやつでな、不安と焦燥とがこもっております。鉄杖の持ち主何者か、すぐにも不幸の結果を見ましょう。……器は持つ人の精神によって、いろいろの音色を発しますもので。清浄の山伏が貝を吹けば、霧さえ左右へ開くほどで」
「これはごもっともに存じます」
一行悠々と歩いて行く。先を歩いている君尾の一群れ、そこから笑い声が聞こえてきた。君尾の笑い声が一番高い。そうして一番愉快そうである。ふと朱舜水は微笑した。
「君尾殿には元気のよいことで」
「七、八歳の娘のようで」光圀も微笑したものである。「朝日奈、朝日奈」と呼びかけた。
「は?」というと朝日奈小弥太、愛嬌のあるまる顔を、光圀の方へ振り向けた。
「そちが探った君尾殿の素姓、だいたい間違いはあるまいな?」
「はい、間違いはございません」
「銅兵衛という杉窪の長、それの養女だとかいうのだな」