Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
待てば海路の日和とね」
「私にゃ難船が眼に見える」
お町、今度は返辞をしない。
「わがままでさあ、わがままですよ。ちゃんと膳立てをしてお招きした、あっしの苦心は買ってくれず、待てば日和は悠長ですねえ。それもさ、他人のためじゃねえ、みんなあねごのためですのにね。永い念願の巻軸が、すぐ手にはいるじゃありませんか。ちょっとおすがりしさえしたらね。……お母さんのうらみ、あねごの心外、そいつもまんざら知らねえじゃあねえが、まあまあそんなものはこの場合、そっとしまって置くんですね。……いけませんかね。どんなもので? ……オヤオヤ、なんだい泣いていらっしゃらあ! ははあ、お母様を持ち出したので、それで愁嘆なさるんですね。やり切れねえなあ。まるで赤児だ。オオ、よしよし泣くな泣くな! 禁物でげす、涙はね。あねごにそうやって泣かれると、どうやらあっしまで悲しくなる――とこういうといいんですが、実は反対にうれしくなるんで。というのは泣いたとたん、倍も綺麗に見えるんでね、緋縮緬よりなお素敵だ。全くあねごは変ですねえ。笑ってよく泣いてよく、それで怒ってもいいんですからねえ。あッ。