Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
私は申し上げるも恥しいことですが、俗にいう「半男女」に生れたので御座います。そして男と見做されて育てられて来ましたが、私自身も、自分で女であるということを知ったのは大地震の後だったので御座います。
今回の悲劇の起りをよく了解して頂くためには私の生家にまつわって居る恐しい呪いの陰影から申し上げねばなりません。私の家は本所××町の旧家で御座いまして、代々富裕な生活をして来ましたが今から六代前の当主が、ある深い事情があって私の家に宿って居た角田碩円という旅僧を殺したのだそうで御座います。その旅僧は今わの際に、この家の潰れるまで祟ってやると言って死んで行きましたそうですが、爾来私の家には代々唖が一人宛生れるようになったそうで御座います。私の父と母とは従兄妹の間柄でしたから、私たちのような不具者の生れるのは医学上当然のことでありましょうけれど、やはり旅僧の祟りと思われる事情があったので御座います。それは私の唖の妹が、まだ子供の時分に、いつの間にか、その旅僧の姓である「ツノダ」という文字だけを書くようになったので御座います。何処で誰に教わったかはわかりませんが、妹はツノダという文字だけを書いて、あとの文字は何一つ書かないので御座います。