Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
妹を殺してから二人は別々の道をとおって飯田町に落合い都落ちをするつもりだったので御座います。
愈よ三人は小石川指ヶ谷町のあの坂の上に来ました。鬼頭さんは妹を殺す際に、私に、「人殺しーい」と叫べと申しました。そうすれば警察では物言うことの出来る女として身許を捜すにちがいないから、決して知れないだろうというのでした。今から思えばそうした小細工が私たちの身の破滅を来したので御座います。私たちは妹を一歩先に歩ませ、私がその後ろから右側を歩き、鬼頭さんは私の左側になって、手袋をはめて、かねて鬼頭さんが持って居た短刀を以て妹をつきました。
つき刺すと同時に鬼頭さんは短刀を抜きましたが、その時私の左の袖に血がかかったものと見えます。刺された妹は私の方を振り向いてうらめしそうに睨みましたが、ああその恐しい顔! 闇の中にもはっきりとその鬼のような形相がうかび上りました。私は「人殺しーい」と一声叫び、鬼頭さんは前方に、私は今来た方へ引き返して走りましたが、どこをどう走ったか全く夢中で御座いました。妹の顔が眼の前から離れず、駈りながら更に「人殺しーい」といったらしいのです。