Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
私の囲ったのは芸者上りの女でしたが、一たびそのことが先妻の耳にはいりますと、私の家は実に暗澹たる空気に満たされました。彼女は泣いて私に訴えるばかりでなく、時には噛みついて私を責めるのでありました。その都度店のものが仲裁にはいってくれましたが、そうしたことが度重なった末ある夜、私が女の許へ行って居た留守中に、家に代々伝わる村正の刀で頸部をかき切って自殺を遂げたので御座います。
この村正の刀というのは、申すまでもなく、その家に不幸を齎すという言い伝えがあります。一旦鞘を出ると血を見ずにはおさまらぬというようなことも申します。何でも四代前の主人が発狂して同じ刀でその妻を斬ったということでしたが、先妻も、やはり発狂して、同じ刀で自分を切ったので御座います。いや、うっかりすると、私も共に斬られていたのかも知れません。佐野治郎左衛門の芝居を見ますと、「籠釣瓶はよく切れるなあ」という科白がありますがあの刀もたしか村正だったと思います。私の家に伝わる村正も、その籠釣瓶のように実によく切れるので御座います。先妻はその村正を右手に持って、頸部を横に切ったのですが、創は脊椎骨に達するくらいで、検屍の人もびっくりしました。