Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
そうして良雄は自然恥かしさのために郷里に居られなくなり、祖先伝来の家屋敷を売り払って母と共に寂しく名古屋の郊外に移り住むことにしたのである。
どうして、あさ子が良雄の家の離れ座敷の屋根裏にしのび込んだかは今でも疑問とされて居る。花嫁の盃の中に滴った血は、いう迄もなく縊死したあさ子の死体から流れて天井にたまったものであるが、それが丁度花嫁の捧げた盃の中にはいるということは、あまりにも因縁の深い偶然といわねばならない。
良雄は後に、天井裏の探険に行った時のことを物語って、縊死して居たあさ子の手が自分をまねいたので思わず引き寄せられて行ったと話したそうであるが、それは恐らく蝋燭のうすぐらい灯によって起った錯覚であっただろうと思う。それにしても、たおれた拍子に、蝋燭の灯が右の眼の上に落ちたということも、やはり、単なる偶然とは思われない。
最後に一言。あさ子の父丹七は、あさ子の葬式をすました翌日、飄然として出発したまま、その後帰って来ないので、人々は、今でもその生死を知らないのである。村人の中には、結婚の夜、丹七がそれ迄監視して居たあさ子の外出を知らぬ訳はないから、故意にあさ子を外出せしめたのだろうという穿った解釈をするものもあるが、果してそうであったかどうかは誰にもわかる筈がない。