Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
死後凡そ十六時間を経て居ました。その時丁度午前九時でしたから、兇行は前晩の七時頃行われたことになり、女中の言葉とよく一致して居りました。私は一応見診を終って、死体を白布にて蔽い、腸管を運動させる準備をして後、容疑者のはいって来るのを待ちかまえました。
程なく、問題の男は、検事と警官とにはさまれて、解剖室へはいって来ました。私は男の顔を見て、これは容易ならぬ敵だと思いました。毒蛾のような痣が彼の顔をして一層兇悪の表情を帯ばしめて居りました。その時私は、何となく腸管拷問法が効を奏しないような予感がすると同時に、この男のあの痣を利用したならば腸管拷問法よりも、もっとはげしい恐怖を与えることが出来ると思いましたので、腸管拷問法が成功しない時の予備として、助手に耳打ちして、その頃教室で癌腫発生の研究に使用して居たコールタールの小罎と、それを塗る短い筆とを取って来て置くように告げました。
いつもの通り、容疑者を加えて、私たち六人は、無言の行を始めました。男は初め、検事に何か言われるであろうと予期して居たらしく、検事のむっつりとした顔を不審そうに見つめました。