Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
阿倍仲麻呂が、たった一つ和歌を作っただけであるのに、その一つを、疝気持ちの定家に引奪られ、後世「かるた」というものとなって、顔の黄ろい女学生の口にかかって永久に恥をさらして居る。又、手紙故に、「珍品」という綽名を貰って腎臓炎を起した一国の宰相もある。そう考えると、静也は手紙を書くのが恐ろしくてならなかった。
静也が恋の重荷に苦しんで居るとき、突如として、コレラが帝都を襲ったのである。すると不思議なことに、臆病な静也は急に大胆になった。そうして、敏子の前に恋を告白しようと決心したのである。恋とコレラとの関係については、まだ科学的な研究は行われて居ないようであるが、若し研究したい人があるならば、静也は、誠に適当な研究材料であるといってよい。
大東京に恐怖の色が漂って居たある日、静也は京助が会社へ行って居る留守に敏子をたずねた。そうして静也は、演説に馴れない人が、拍手に迎えられて登壇するときのように、ボーッとした気持になって、生れて初めて恋の苦しみを味わったこと、言わなければとても堪えられぬので思い切って告白するということなどを、敏子に向って語ったのである。