Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
ことに愉快なことは、今、亜砒酸を用いて毒殺を行ったならば、医師は前述の理由で、コレラと診断し、毫も他殺の疑を抱かないに違いない。自分で死んで医学を愚弄するよりも、自分が生きて居て医学を愚弄した方がどれだけ愉快であるかも知れない……。こう考えると静也は、うれしさにその辺を駈けまわって見たいような気がした。
彼は下宿に帰ってから、然らば一たい誰を殺そうかと考えた。すると、彼の目の前に下宿の主婦のあぶらぎった顔が浮んだ。彼は自分が痩せて居たために、ふとった人間を見ると癪にさわった。そこで彼は下宿屋の主婦を槍玉にあげようかと思ったが、あんな人間を殺しても、なんだか物足りないような気がした。
段々考えて居るうちに、彼は突然、友人の佐々木京助を殺してはどうかと思った。彼は、京助のふとって居ることがいつも気に喰わなかったが、ことに、京助の顔は、この世に居ない方がいいというようなタイプであったから、京助を犠牲にすることが一ばん当を得て居るように思われた。尤も、敏子に対する腹癒せの感情も手伝った。綺麗さっぱりとはねつけられた返礼としては正に屈竟の手段であらねばならぬ。