Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
御見舞しようと思ってもあなたの行先がわからず、あれから毎日こちらへ来て見たのです。二週間とは随分長い隔離ですねえ」
「そうよ、わたし病院で予防注射を受けて居ましたの。あなたは注射をなすって?」
「いいえ、一回や二回の注射では駄目だということで、面倒ですからやめました」
敏子はそれをきくと、何思ったか、急にその眼を輝かせた。
「一回や二回ではきかなくても、十回もやれば、黴菌をのみ込んだって大丈夫だそうだわ。わたし、毎日一回宛十回ほど注射して貰ったのよ。あなただって、佐々木のように死にたくはないでしょう?」
「佐々木君が死んだときいてから、急に死にたくなくなりました」
こう言って静也は意味あり気な眼付をして敏子をながめた。
「それじゃ、その以前は死にたかったの?」
静也はどうした訳か、急に顔がほてり出したので、伏目になって黙って居た。
「ね、仰しゃいよ」
静也は太息をついた。
「実は、この前御目にかかってから、自殺しようと思いました」
「どうして?」
「失望して」
「何を?」
「何をってわかってるじゃありませんか」
こう言って彼は、小学生徒が先生の顔を見上げる時のようにおずおず敏子をながめた。