Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
四時間! 何故?
その四時間は静也にとって、「永久」に思われた。
然し、その長い四時間も過ぎた。夏の夜は更けた。
すると男は暗黒の中で奇妙な声を出した。それは全くその場にふさわしからぬものであった。
「アッ!」
嘔吐の声。
「うーん」
嘔吐の声。
「ホ、ホ、ホ、ホ、ホ」女の甲高い声が暗の中に響き渡った。「よくも、よくも、あなたは佐々木を毒殺しましたね? 卑怯もの! わからぬと思ったのは大間ちがい、佐々木は予防注射を何回も受けたのよ……」
「あーっ」と腹の底をしぼるような声。
嘔吐の声。
「だから、わたしはすぐ覚ったわ。けれど、佐々木は毒殺されたとは知らないで死んだのよ。死ぬ人の心を乱してはいけないと思って、わたしも御医者さんが誤診したのを幸いに黙って居たわ。だから、佐々木は予防注射をしてもきかなかったのだと思って死んで行ったわ……」
嘔吐の声。
「それに、わたしは、あなたを警察の手に渡したくなかったのよ。警察の手に渡れば、死刑になるやらならぬやらわからぬでしょう。わたしは、一日も早く自分で復讐しようと思ったのよ、だから、昨日まで予防注射をしてもらって生きた黴菌を嘗めても病気にかからぬ迄になったのよ。