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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

警察で与えられた汚ない履物をはいて居るほか、昨夜のままの姿であったが、髪は一層乱れて疲労の色が頸筋にまで見られた。

「一たいどうなさったというのです」と、康雄は心を強いて落つけながら言った。「今朝あなたの置手紙を見て、私は本当に悲観しました。実際私は一時、あなたの心を恨んだくらいですよ」

女は相変らず顔を上げなかったが、深い呼吸を一つして、

「相済みません」

と、かすかに言った。

康雄はこれをきいて、大に力づいた。一言も発しないかも知れぬという危惧の念が、これで完全に取り去られたからである。

「済むも済まないもありません。ただ私はあなたの身の上を案じたのです。あなたが、大平家から、ただならぬ様子で駈け出して来られたのは、何かそこに深い事情がなくてはなりません。その事情を今朝ゆっくり承ろうと思ったのに、あなたの姿が見えなかったので、全く失望してしまったのです。それと同時に、あなたの身の上を案じたのです。すると夕方になって、更に心配を増したのは、大平さんが昨夜、何ものかに殺されなさったことです。夕刊で読んで、本当にびっくりしました。すると其処へ、丑村刑事がたずねて来られて、色々の証拠から、あなたが昨夜、私に出逢ったであろうと推定して、あなたの身許をききに、来られたのです。