Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
坊さんは、机の上にランプを置いて、押入れから座蒲団を出して私に与えた。
「御飯をこしらえてあげたいのですけれど、雇いの婆さんが夜分は村の自宅に帰りますから、私ではどうすることも出来ません。幸い貰い合せのカステラがありますから、それでも食べて我慢して下さい。その代り、御茶だけは、このとおりあついのが差上げられますよ」
こう言って坊さんは、しゃんしゃん音をたてて居る鉄瓶を下して、煮えたぎって居る湯を土瓶に移し、それから机の傍にあったカステラの箱を開いて私にすすめた。私は遠慮なく御馳走になった。
それから私たちは色々の話をはじめた。坊さんは可なりに愉快な人であって、私の学校生活や京都に関する話を、興味をもってきいてくれた。山奥の単調な生活を営んで居る人には、こうした話は頗る珍らしかったのであろう。
一通り世間話がすんで、身体が温まって来ると、私はふと、さっき境内できいた子守唄を思い出した。
「時に御宅には赤ちゃんがおありですか」と私はざっくばらんにたずねた。
坊さんは突然のこの質問に暫らくその意味を取りかねて居たようであるが、やがて、唇に薄い笑をうかべて言った。