Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
余談は扨措いて、彼是するうちに、お蝶さんはとうとう子を生みました。それは可愛い男の子でありました。村人はそれを知って、祝うかわりにひそかに悲しみました。悪漢の一人を父とし、癩病の血統を持った狂人を母としたその子の運命は、思いやるだに悲惨なものです。而も運命はどこまで残酷なものでしょう、お蝶さんの精神異常は、子を生んでから一層はげしくなったのであります。
彼女はお産をしてから二三日たたぬうちに泣きしきる赤子を抱いて、山や野原を、黒い髪を振りみだし乍ら、跣足で走りまわりました。黒水晶のように美しい、大つぶな眼をむいて、天の一方をにらみながら、先刻あなたが御聞きになった子守唄をうたっては、あてもなくさまよいました。
※(歌記号、1-3-28)あの山越えて里いった…………
というところなど、その朗らかな声は山にこだまして、村人の涙をそそったものです。白は彼女に従いて居ることもありましたが、二人の食物を求めるために忙しくて、彼処此処をとびまわりました。彼女はもはや誰の顔を見ても見わけがつきませぬでした。私が近よってもただにッと笑うだけで、私を認識することが出来なかったらしいのでした。