Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
それがため彼は外出して、その不快の念を晴らそうかとも思いましたが、留守中に友江さんが医者を訪ねるようなことがあってはならぬからと、家にのみ引込み、従って彼は性的興奮にかられて、女中に手をつけようとしたのであります。
すべて運命の神は、一旦その手をもって人を虐げにかかると、どん底まで引き込まねばやまぬものですが、可憐の友江さんもその例に洩れないで、黴毒は遂に彼女の脳を冒し、精神に異常を来したのであります。かような精神異常は、駆黴療法を行えば、すぐなおるのですが、何しろ一度も医師にかけぬのですから、精神異常は日に日に重くなるばかりでした。ことに友江さんは妊娠中だったので、たださえ女子の妊娠時には、精神異常を来し易いのですから、ますます悪い条件が重なった訳です。始め高度の憂鬱状態に陥った彼女は、度々自殺を計るようになりましたので、さすがの信之も閉口して、日夜、警戒監視を怠りませんでした。
かような事情の中へ、新らしく一人の女中が出かわって雇われて来ました。彼女は名を沢と言って相当な美人で、一見すると良家の子女のように見え、年は友江さんより一つ二つ上らしく、非常に気転がききましたので、信之は沢によっていつしか心の虜にされてしまったのです。