Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
とたずねた彼の声は、心もち顫えて居た。
「そうですよ。実は私の眼も、むかしは一人前に見えたんですが、ふとしたことからモルヒネ中毒にかかって、あげくの果に、眼をつぶすことになりましたが、眼が見えなくなると、不思議にもモルヒネ中毒はけろりとなおりましたよ」
「ふむ、妙な話だなあ。どうしてモルヒネなんか嚥む気になったんだい?」と彼は聊か好奇心に駆られて、どんよりして居た眼を輝かした。
「さあ、それをきかれると困るんですけれど……」
「いや、話してくれよ」と、彼は吸いさしの煙草を火鉢の灰の中へ突きさした。
按摩はにやり笑った。
「大ぶ乗気になりましたねえ。ええ、もう、白状してもかまわぬ時ですから、思い切って御話ししましょう。実はねえ旦那、私は若い時に人殺しをしたんです」
彼はぎくりとした。
「ははは、旦那、少し肩の肉がかたくなりましたねえ。なに、そんなにびっくりなさることではありませんよ。今じゃ私もおとなしい人間です。まあ私のいうことをお聞き下さい」
按摩は、それから彼が恋の敵を殺すに至るまでのいきさつを凡そ一時間近くも話した。さすがの彼も、もう煙草どころではなく、段々話が進むにつれ、好奇心が恐怖に変って、いわば鷲につかまった雀が、鷲から懺悔話をきいて居るといったような為体であった。