Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
それこそ名状し難い不安が生ずる。それはいわゆるぼんやりした不安だ。そうしてその不安のために、自殺を行うに至るまで、いたずらに月日が経過する筈だ。
然し僕の場合には、反省の余地も妥協の余地もないのだ。だから、僕はまっしぐらに自殺決行につき進もうとしたのだ。
然らば君は問うであろう。何故に僕が、昨日の晩、すぐさま自殺を決行しなかったかと。いかにも、この質問に対しては、僕も明瞭な返答をなし得ないのを悲しむ。けれども、僕が自殺を決心した次ぎの瞬間、自殺方法について、考えをめぐらせるだけの余裕をもったことは事実である。いや、余裕をもったというよりも考えることを余儀なくされたといった方が適当であろう。
僕は昨日の晩まで、自殺すべき事情が発生するとは夢にも思わなかったのだ。だから、君たちの接吻を見た瞬間に自殺を決心しても、そのとき、ナイフを以って居るでなし、毒薬を携えているでなし、すぐさま自殺を決行するだけの条件がととのって居なかったのだ。だから、当然、いかなる方法をもって死ぬべきかに考え及んだのである。
さて、いよいよ自殺方法を考えるとなると、不思議なもので、おいそれと決定することは出来ぬものだ。