Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
そうしてその後はただ時機を待って居るばかりである。
三日――委しく言えば十二月三日の午後、自分は例のごとくぶらぶら歩きながら近藤進の家の方へ向って居た。夕ばえが西の空をオレンジ色に染めて、雀が忙しそうに啼いて居た。すると、道辻にある餅菓子屋から五六軒行き過ぎたところで、前方からあたふた小走りに走って来る老婆に出逢った。見るとそれは近藤方の召使いである。彼女は魚屋の前へ来て立ちどまると、
「今、使が来て、娘が急に産気づいたと知らせに来たからちょっと行って来るが、家にはちゃんと錠をかけて来たけれど、若し旦那様がここをお通りになったら、そのことを話してくれないかね」
「そりゃお目出度いな。ああいいとも」
「六時頃に千葉から御帰りになる筈だ。頼むぜ」
「よし、よし」
魚屋の主人は大きくうなずいた。
この会話をきいた時、自分は待ちに待った機会が愈よ到来したことを知った。自分は急ぎ足で彼の文化住宅に近づき、やがてこっそり家の中へしのびこんだ。幸いにどの窓にも厚いカーテンがおろされて居て、あたりは既に暗かった。自分は安心して仕事にとりかかった。
先ず物置から火薬入りの鑵を取り出して薄暗い電灯のついて居る勝手元に置いた。