Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
罌粟粒よりも微小な鉛色の火薬が、砂時計が時を刻むように乳白の電球の中へさらさらと流れ込んだ。そうして、次第に口金の方から火薬が流れ込むに従って、だんだん鼠色に染め上げられて行った。さすがに一二度電球を持つ手が顫えたのを覚えて居る。
遂に火薬は充填された。鼠色の重たい爆烈電球は出来上った。それを運ぶとき心臓が妙な搏ち方をした。若しあやまって落したらそれこそ自分が死なねばならぬからである。でも幸いにして、自分は注意深く書斎に達し、もとのソケットへはめこんだ。そうしてなお念のために、火薬の鑵の蓋を開いて台附電灯のむこう側に置いた。これで自分の計画は終ったのである。
戸外に出ると、もう真闇であった。自分は近藤進がこの計画によって殺される姿を想像しながら、星あかりの道をあるいた。進が帰宅して書斎のドアを開き、入口のスイッチを捻る。電灯が点じないので、つかつかと中央の机に近づいて台附電灯のスイッチを捻る。それで万事は終るのである。電球はシェードに蔽われて居るし、まさか電球が爆弾に変化して居ろうとは、どんな人間だって気のつく筈がないから、彼を殺すことに間違いのないと同じに、他殺の計画を見破られることも決してあり得ないのである。