Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
通れっ」
「ならぬっ」
「御家老も接伴役のおひとりではないか」
「さればこそ、落度のないように計るのじゃ。伝右ひとりの腹切ってすむことならよいが、お家にもかかわる」
「あの衆の心事に、武士が、涙をそそがいでは、いよいよ武士道は地に廃る。伝右は、生命をかけて接伴を勤めまする。――御家老とはいえ、無慈悲なお扱いには服せませぬ」
「これや、伝右が、どうかいたしたわい。火鉢は、納戸へ返せっ」
「かまわぬ運べっ」
「だまれ。上役の命を」
十七士のいる広間まで、二人の大きな声は、がんがん聞えて行った、一同は、等しく耳をすまして、ゆうべから見覚えている堀内伝右衛門という細川家の一家士に対して、心の底から持ちあげる感激を顔へいっぱいにしながら俯向いていた。
すると、程なく、何事もなかったような伝右衛門の顔が、にこやかに、そこにみえて、
「そこへ一つ、その辺へ一つ」
と、納戸の者をさしずして、火鉢をすえさせた。金網のかかっている大きな唐金の火鉢である、それへ、紅殻染の小蒲団をかけさせた。
ことばになど現わし得ない気持と――伝右衛門の身にかかる咎めを気つかって、みんな、黙って首をさげていた。