Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
戸田修蔵といって、国許では秀才だといってよこした親戚の添状どおり、頭もいいし、人品も、お磯の気に入っていた。それだけに、修蔵は早く江戸に同化した。一度、風呂屋遊びに行ったことが、伝右衛門の耳に入ってから、すっかり信用がなくなっていた。
「まず、あれも駄目じゃの」
杯を、きぱと、膳にふせて、
「あんな柔弱者なら、江戸にいくらでも、次男坊や三男坊の口がある。何もわざわざ」
ふすまが開いた。
娘のお麗が、飯びつを寄せて坐ったので、伝右衛門は、口をつぐんでしまった。
「お父様、ご酒は」
「たくさんじゃ」
「ご飯になさいますか」
「む……む……貰おう」
黙々と、飯を噛む父の顔つきを見て、お麗は話題をさがすことに努めた。
「お父様」
「なんじゃ」
「きょう、露月町の研師が、この間お渡しあそばした十振の刀のうち、祐定と、無銘と、二本だけを仕上げて参りました。
「そうか」
「その時、刀屋も不審がっておりましたが、どうして、あんなに沢山の刀を、一時に研がせるのでございますか」
「今にわかる」
「でも合戦もないのに」
「武士にとっては、常の日も戦の日も、けじめはない」
「そして、あの刀屋は、面白いことを申しました」