Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
大書院におられるらしい。庭には白い幕、白い屏風。――伝右衛門は、眼をそむけた。
広間を見ると――
ずらっと、同じ白と浅黄の死装束が、すずやかにならんでいる。彼の熱い眼に、そうして、平然といる人々が不思議だった。眼で、人々は、伝右衛門に別れをつげた。伝右衛門の眼は、それに答えるのすら、あぶなげなものを、いっぱいに、たたえていた。
すると、一人が、
「伝右殿、今日は、別して、御馳走になりましたが、まだ、煙草が出ませぬな」
「おう、唯今」
細川家の者は、みな、死なぬ者が、上ずっていた。煙草盆を持ってきた小坊主は、原惣右衛門に、頭をなでられて、泣いてしまった。
料紙、硯が出る。
辞世。
書く者もあり、書かぬ者もある。
その間に、伝右衛門は、やっと、人々と別れがいえた。いろいろな言伝を、彼は、書きとめた。内蔵助とも、最後の声を聞きあった。
「十郎左殿には、何か……」
十郎左は、にっこり首を振った。
やがて、時刻。大石内蔵助の名が先によばれた。彼の姿が、庭先の、白屏風のかげに隠れると、しいんと、真夜中よりも静かな一瞬が来た。――異様な音が、ばすん――と聞えたと思うと、人々の面に、さっと、青白いものが走った。