Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
(ああ、まだこの辺は、美濃だ。――白河、会津の上杉領までは)
と、道よりも気の遠くなる心地で――泥の汗を、肱でこすっては、行軍した。
「こん畜生、また坐ってしまやがッた。――叱っッ! 叱っッ! 横着野郎めッ――」
大荷駄のうちで、突然、発狂したような足軽の呶号が起る。日射病でまた二頭の馬が大きな腹を横にして斃れてしまったのである。その腹を、手綱で撲りつけていたが、馬は、口に白い泡を噛んで、眼を鈍くしながら、撲る人間を、恨めしげに見ているだけであった。
「捨ててゆけ、捨ててゆけッ」
部将の声に、病馬の背から、荷が解かれ、他の糧車や馬の背へ移されると、もう陣列は待っていなかった。
それでも――遉がにまだ呼吸のある病馬を、見捨てかねるように、四、五人の足軽は後に残って、水を浴びせたり、薬を咬ませたり、手当していた。
黍畑、桑畑などから、それを見つけて、附近の部落の腕白者や、洟垂れを背負った老婆などが、螽のようにぞろぞろ出て来て、
「やあ、馬が死んでら、泡吹いて――」
「戦にならねえうちにの」
「弱え馬だな」
「こんなこんで、上杉征伐に行ったら、上杉にぶち負けるだろうで」