Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
「土民っ、逃げるには及ばぬ。恐ろしい者ではない。越前へ越える道を問いたいのじゃ。待て、待てっ」
呼び返されて、わしは振向いた。二人の落武者が手を上げている。
落人と見れば、以前はすぐ、稼ぎの鴨を見つけたように、兇悪な胸算用を立てながら猫をかぶっていたものだ。
そのわしを見かけて、恐ろしい者ではないと武者がいうのを見れば、わしも今ではよくよく善良な土民と人目にも見えて来たのであろう。
「あ。……お侍様。何ぞ御用でも」
「されば、道に迷うて、ここまで来たが、越前へ下るには、どう参ったらよいか。越前路の大日越えは、どの方角にあたろうか」
「ここがもう、大日道でございます」
「では、いつの間にか、大日越えへかかっていたのか。――光春、武運はまだ尽きたとは見えぬぞ」
ニコと笑って、一人は連れの武者を顧みた。
「ここまで参ればもう大丈夫……」と、ふたりは苔の上にどかと坐り、手足の傷口を縛り直したり、具足を脱いで、腹巻を締め直したりしていた。
ふたりとも、非常に疲れている容子だし、空腹でもあろうとわしは察して、鍬を返しに行ったついでに、木挽小屋から食物や湯など貰って来てやると、二人は欣んだが、食物には手をつけず、