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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

背が小っちゃくって、丸顔で、笑うと愛嬌さえある。

村の悪童たちは、

「岩ンベ。岩ンベ」

と、石をぶつけたり、上から小便をひっかけたりした。岩公は笑ってるだけだった。ここは、甲州の裏街道なので、旅人もよく通る。岩公が一心に頭を下げるのを見ると、

「一文は安い」

と、よく合羽の袖から、鐚銭が投げられた。

午まえの稼ぎを数えて、岩公は、藁を穴に貫していた。それから飯櫃のめしを食べ、首をのばして川の水を啜った。

陽炎が立って、眠くなるような昼だった。仮橋の上に、旅支度の武士が、じっと下を見ていたが、

「はてな」

と、呟いた。

岩公は、仰向いて、

「がぼ、がぼ、がぼ……」

と、口の中で水を鳴らしていた。

いきなり、羽織を脱ぎ捨てた武士は、

「おのれっ、佐太郎だなっ」

と、上から呶鳴った。

「げっ」

岩公の口から、水が、ぴゅっと走った。

「うぬ、よくも多年、姿を晦ましおったな。勝負をしろっ」

河原へ、飛び降りた。

反対に、岩公は、上へ逃げ上がった。まるで転がるように、迅かった。

「卑怯者っ」

武士もつづいて、飛び上がった。しかし、街道にはもう人影が見えなかった。

草鞋に白い埃を立て、