Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
と今、囁いて行った人々の言葉だの、もがいている眼つきだのが、ひしと、心を噛む。
「どうしても、二十日には、顔を出さねばならないかな。俺が出れば、弱音はふけぬ。自分の火が、村を何十ヵ村も、火にしてしまうが――」
彦太は、自分の熱っぽい性格が怖かった。
一人の犠牲で、何十ヵ村の飢えが、救えるものならいいが、この真田伊賀守の領土では、繭糸一揆だの、千曲川の運上騒動だの、また、領主がお庭焼の陶器に凝って、莫大な費用の出所を、百姓の苛税に求めたので起った須坂の瀬戸物一揆だのと、彦太がもの心ついてからでも、数えきれぬ程、むしろ旗が騒いだが、一つも、成功した例がなかった。
人国記にもいわれてる通り、由来信州人は、智慾は旺なるも、争気に富み、郷党和せず、という欠陥があるのと、痩地の十万石で、貧乏財政をやりくりしてる藩役人は、狡策に長け、一揆の対抗には狎れきっているし、そういう方面でも、兵法の家筋だった。だから、騒いだ後は、いつも、千曲川が赤くなるほど、首謀者の首が、並べて斬られ、結局、百姓は又、何も得るところはなく、
坊子にゃ出ぬ乳も
運上にゃしぼる
と、味噌煮唄でもうたって、欝憤をやるだけのものになってしまう。