Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
それだからこそ広場は面白く、あわれに、生きている。雪に覆われた赤い広場を眺めていると、ここには濃い諧調と美とがあって、伸子は、抑えられつづけた人間の執拗な蹶起の情熱に同感するのだった。
その日は、珍しく素子も一緒に散歩に出た。素子と伸子の二人は、トゥウェルスカヤ通りが終って、クレムリンの門へかかる手前で、一軒の菓子屋へよって、半ポンドの砂糖菓子を買った。そんな買物をするのは素子として滅多にないことだった。
「ちょっと、一つだけ」
伸子は紙袋から、苺模様の紙にくるまれたチョコレートをつまんで口に入れ、同じように頬ぺたをふくらましている素子とつれ立って、広場の入口まで来た。きょうもその辺をぐるりとまわって来るつもりだった。
いかにも晴れやかな厳寒で、露天商人もいつもよりどっさり出ているし、赤い広場の黒い二本の踏つけ道の上にも、一列につづいて、絶えず通行人がある。めったにこの辺をぶらぶら歩きすることもなかった素子は、
「やっぱりここの景色は味があるね」
と広場のはずれに立って、あちこち眺めわたした。そして、城壁に沿って足場めいたものの見えるレーニン廟へと目をとめた。