Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

フランシーヌのつやのわるい十六歳の顔の上にはそばかすがあった。このごろ、そのそばかすが濃さをましたように見える。その頬にたれている捲髪と同じように、長すぎるルーマニア風の鼻から、彼女は、

「だって――寒いんですもの」

寒い、ということにあたりまえでない意味がふくまれているような鼻声と目つきで母親を見ながら食卓に向っている体をくねらせた。ベルネの細君は、娘の血色を美しくさせようとして、食後自転車にのって、すこし外をまわって来るようにとフランシーヌにすすめているのだった。

「ジャック、彼女といっしょに行きなさい」

兄息子のジャックは、だまって長い膝をゆすっている。

「二人でいっておいで。ね、少し運動した方がいいんですよ」

「――寒くて」

やがてベルネのおばあさんが、両肩から何かを払いおとすようにまずテーブルから立ち上る。つづいて細君も、主人も。彼らには午後から工場の仕事がある。そして、伸子も。奇妙なとりつぎについて伸子は、ひとこともフランシーヌにふれないのだった。

一日が一日とすぎてゆく。伸子のパリを去る時が近づいている。蜂谷と伸子との間にある緊張はつよまるばかりだった。