Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
蜂谷良作は感情の投げ輪を一層つよく投げ、伸子は、なるたけ蜂谷以外のひとたちと行動をともにしようと考えながら、実際につれ立って出歩くのは蜂谷ばかりであったし、しかもその間に伸子は一度ならず蜂谷の投げ繩にとらえられた。彼女自身のうちにわきたつはげしさと同じ分量の疑わしさの間にいつも中途半端にたたずんだまま。伸子はもう自覚していた、自分が正気を失えないことを。そのように正気でありながらも、官能というものはほだされるものだということを。伸子の本心は恋を求めているのだった。愛にまでふかまる恋を。――ほだされている自分。伸子は手鏡をとってしげしげとそこに映る自分をながめた。そこに何か新しい美しさの添えられた顔が見出されるのだろうかと。
十五
ある晩、伸子は三人ぐらいならんで臥られそうな大きい寝台の真白いシーツのまんなかに上半身おき上って、煖炉の白くなった豆炭の奥にのこっているかすかな赤い光をじっと見つめていた。
世帯もちのいいベルネのおばあさんは、葡萄酒をのまない伸子のために、いくらか食卓のたのしみがあるような心づかいをすることはなかったが、クラマールの夜が寒くなってからは、毎晩、白いナプキンできちんとくるんだゆたんぽを伸子の寝床の裾へ入れておいてくれた。