Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
彼のその頭の髪が、いかにもきちんとととのえられていて、きのうから気分をわるくして寝床にいる男のようでなかった。そう気がついてみると、胸から下へ毛布をかけてねている蜂谷のパジャマも、うすいクリーム色にグリーン縞の洗濯したてのさっぱりしたものだった。とりちらされた寝床にいる彼を見るよりも、それは目に楽であるけれど、伸子は何となし瞬きをした。
「熱がでたの?」
「熱はないんだろう」
行儀よい姿で、枕の上からいつもの彼の、額に横じわをよせて眉をしかめるような見かたで自分を見つめている蜂谷の顔を眺めているうちに、伸子の気持は、女らしい母親めいたあたたかさで柔らいで来た。煖炉のよこから質素な椅子をもって来て、伸子は蜂谷のベッドのわきにかけた。
「工合がよくなければ、早くちゃんとしなくちゃ」
「うん」
「ここのマダム、誰か、ちゃんとしたお医者を知っていないかしら」
磯崎恭介が歯をぬいたばかりで敗血症になり、一晩のうちに死んでから、伸子は行きずりのパリの医者のすべてに信用がもてないのだった。
「もしかしたら、ベルネのうちできいて来てあげましょうか。――亀田さんのところでも知っているかもしれない」