Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
身軽に立って、伸子があんまりそっちへ目をやらないようにしていた室の一隅へひっこんだ。その一隅にバネのよわくなった寝台がおかれていた。寝台の裾にちょいとした衝立があって、そのかげに、水のつかえるところがあって、顔を洗ったり、茶を入れたりする場所になっているらしかった。山上元は、衝立のむこうから、相当はなれた窓のわきにいる伸子に向って、大きな声で喋った。
「僕は、きみなんかより、ずっと料理がうまいよ。若い時分、アメリカでは、ケチン仕事を何でもやったもんだ。ジャムをつくることなんかは、なかんずく得意だね」
伸子は、笑い出した。
「じゃ、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)では、ようございますね。苺やいろんなベリーがどっさりあって、やすいから」
「ところがいそがしくて、ジャムもあんまり煮ていられない」
せっかちらしく、指先の太い両手にコップについだお茶をもって、山上元は衝立のかげから現れた。伸子は、自分が動かずにサーヴィスさせては、わるいと思った。
「おてつだいしましょう」
席から立ちかけた。
「もう何もすることはありゃしない。ジャムをもって来るだけだ」
ガラスの小さい入れものにはいった、つやつやした色の黄苺のジャムが出された。