Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「たべて見なさい、うまいよ」

云われるとおりに、ジャムを小皿にとって、ロシア流に茶をのみながら、伸子には、そのジャムがお愛想でなしにおいしかった。たしかに上手に煮られているし、伸子たちは、正餐につく乾果物の砂糖煮のほかには、甘いものなしで暮しているのだった。

「きみは、酒をのまないのかい」

「いいえ」

「ローザは、酒のつよい女だったよ」

「ローザって、ルクセンブルグですか」

「ああ。アムステルダムの会議では、ローザが僕の通訳をしてね――あれは素晴らしい女だった。火みたいな女だった。朝っぱらから葡萄酒をのんで、いつもほろよいきげんなんだが、そういう時のあの女の頭の冴えようときたら、男がたじたじだった」

面影がよみがえってそこにあるというような、話しぶりだった。

「わたしたちは、ひさし髪に結って、白いブラウスを着たローザの写真しか知らないけれど」

「あの女はたいしたものだった。クララもそのとき会ったが、ローザにくらべるとクララの方は、ずっと常識的な女だ」

「ツェトキンですか?」

「ああ。あれは常識的な女だ」

伸子は、山上元の話しぶりを軟かにニュアンスの深いこころもちできいた。