Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
はじめこの家を建てるとき、おそらくモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の金持ちの一人だった主人は、社交シーズンである厳冬の雪の白さと橇の鈴音との、鋭いコントラストをたのしもうとしたのだろう。表玄関がすっかりエジプト式に装飾してあった。胴のふくらんだ黄土色の太い二本の柱には、朱、緑、黄などでパピラスの形象文字が絵のように描かれて居り、周囲の壁もその柱にふさわしく薄い黄土色で、浮彫の効果で二人のエジプト人が描かれていた。廊下一つをへだてた応接間はフランス風に、大食堂はイギリス好みに高い板の腰羽目をもってつくられていた。
手紙をとりに事務室の方へのぼってゆく階段は、大玄関とは別の、茶色のドアのなかにあった。事務室のそとの廊下に、郵便局の私書箱のような仕切りのついた箱棚があって、在留している人々の名が書いてはりつけてある。伸子は、自分の姓が貼られてある仕切りのなかを見た。そして、瞬間何ということなし普通でない感じにうたれた。その日はどうしたのか仕切りの箱の中がいつものように新聞の巻いたのや雑誌の巻いたのでつまっていず、ガランとした棚の底に水色の角封筒がたった一つ、ぴたりとのっていた。