Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
封筒には多計代の字でかかれた表書きが見えている。その水色の厚ぼったい封筒はその仕きりのなかでいやに生きた感じだった。生きている上に感情をもってそこにいるという感じだった。伸子は変な気がして瞬間眺めていたが、やがて、生きものをつかむように、その手紙を仕切り箱からとり出した。そとの明るい光線にさらされると手紙はただ厚いだけで、別に変ったところもないのだった。
ホテルへ帰って、二人はすこし早めに正餐をすませた。その晩は、メイエルホリド劇場で「吼えろ 支那!」を観ることになっていた。
「橇にしましょう、ね」
「橇、橇って……贅沢だよ」
「だって、もうじき雪がとけてしまうのよ、そしたらもう来年まで橇にはのれないのよ――来年の冬、たしかにモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で橇にのるって、誰が知っている?」
外套を着るばかりに外出の支度を終った伸子は、派手なマフラーをたらして、テーブルのよこに立ったまま、午後大使館でとって来た水色封筒の手紙を開いた。縦にケイのある実用的な便箋の第一行から、多計代のよみわけにくい草書が、きょうは糸のもつれるようではなく、熱い滝のように伸子の上にふりかかって来た。