Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
伸子が出て来たとき、台所のところからまたニューラの頭がちょいとのぞいた。どうしたのかしらと思いながら、伸子がそのまま室へ入ろうとするとうしろから、
「お嬢さん!」
すがるようなニューラのよび声がした。伸子は少しおどろきながら台所の前まで戻って行った。
「どうしたの? ニューラ」
「邪魔して御免なさい」
「かまわないわ。――でも、どうかしたの? 気分がわるいの?」
「いいえ。いいえ」
ニューラはまたあわてたように首を左右にふりながら、浅黒い、鼻すじの高い半分ギリシア人の顔の中から、黒い瞳で当惑したように伸子を見つめた。
「きいて下さい、お嬢さん、わたし洗濯ものを干さなけりゃならないんです。奥さんが帰るまでに干しておかなけりゃならないんです。そう云って出て行ったんです」
洗濯ものを干すことで、どうしてニューラがそんなにまごつかなければならないのか伸子にわからなかった。
「ニューラ、あなたいつも自分で干してるんでしょう? それとも奥さんがほしているの?」
「わたしが干しているんです。――でも、わたし、こわいんです」
わたし、こわいんですと云いながら、ニューラはショールの下で本当にそこにこわいものが見えているように見開いた眼をした。